突然ですが、現在、構想中、もしくは書きかけの小説について書いてみます。
ショートストーリー編
「幸せのかんづめ」
開けると幸せになるという缶詰があって、嫌な事や、つらいことがあっても、その缶詰を開けると、忘れる事が出来て、幸せな気分になれるという…。
「前世占い」
他人の前世を見る事が出来るという占い師がいた。彼は自分の前世だけは見る事が出来ないので、他の占い師に見てもらう事にしたのだが…。
ショートじゃないストーリー編
「リセット」
恋人と車でデート中に、突然別れをつげられる。その理由をただそうとするのだが、二人を乗せた車が交通事故を起こしてしまい、恋人は意識不明のまま、目を覚まさなくなってしまう…。
「自殺志願」
自殺サイトで知り合った男女が、実行に移すため、集まって、最後の晩餐を行う。
ところが、そのうちの一人が突然、謎の死をとげる…。
と、こんな感じで、いくつか用意しています。
実際に書いているのは「リセット」だけで、それ以外は、頭の中で構想を練っているところですが、機会があれば発表したいと思います。
2006年06月23日
2006年05月15日
占い探偵マミ! 誕生編
今度から、携帯サイトの方で小説を書きます、と言ったのですが、どうせなら、今までやらなかったようなことにチャレンジしようと思い、あれこれ考えています。
一応、シリーズ物で、ショートストーリーみたいに一話完結にして、全体がつながっていくような展開がいいかなと思い、構想を練っています。
そこで、覚え書きとして、ブログに登場人物の設定などを書いておく事にしました。
もともとこの作品は、yubio向けに書いた「占い探偵マミ! 番外編」という作品がベースになっていて、読み切りなのに番外編、という奇妙な設定なんですが(笑)、「占い探偵マミ!」というのは、テレビドラマという設定で、そのドラマの打ち上げパーティーでの出来事を書いたのが、「番外編」なんです。
本編もないのに、いきなり番外編、という話にしたら面白いだろうなあ、というところから生まれました。
どうせなら、その設定を生かそうと思い、携帯小説の方で再利用することにしました。
今のところ、決まっているのが、舞台はテレビ局で、ドラマを製作するところからはじめる、ということです。
以下は、決定している登場人物の設定です。
飯野佳代(いいの・かよ)…テレビ局のAD。主にツッコミ担当(いいのかよ!)
象山虎造(ぞうやま・とらぞう)…テレビ局のプロデューサー。通称「象プロ」(このあだ名は、「ADアイコ」というマンガからインスパイア)
ディックさん(通称。本名不明)…テレビ局のディレクター。いつもプロレスラーみたいなマスクを着用している。
葉無創(はなし・つくる)…テレビ局の放送作家。意味不明な川柳を作るのが得意。
早川マミ(はやかわ・まみ)…この物語の主人公? ドラマの主演女優。ふだんはコンビニでバイトしている。
見てわかる通り、コメディです。これ、実際に映像で見てみたいなあ(笑)。
どこかのテレビ局で採用してほしい。
一応、シリーズ物で、ショートストーリーみたいに一話完結にして、全体がつながっていくような展開がいいかなと思い、構想を練っています。
そこで、覚え書きとして、ブログに登場人物の設定などを書いておく事にしました。
もともとこの作品は、yubio向けに書いた「占い探偵マミ! 番外編」という作品がベースになっていて、読み切りなのに番外編、という奇妙な設定なんですが(笑)、「占い探偵マミ!」というのは、テレビドラマという設定で、そのドラマの打ち上げパーティーでの出来事を書いたのが、「番外編」なんです。
本編もないのに、いきなり番外編、という話にしたら面白いだろうなあ、というところから生まれました。
どうせなら、その設定を生かそうと思い、携帯小説の方で再利用することにしました。
今のところ、決まっているのが、舞台はテレビ局で、ドラマを製作するところからはじめる、ということです。
以下は、決定している登場人物の設定です。
飯野佳代(いいの・かよ)…テレビ局のAD。主にツッコミ担当(いいのかよ!)
象山虎造(ぞうやま・とらぞう)…テレビ局のプロデューサー。通称「象プロ」(このあだ名は、「ADアイコ」というマンガからインスパイア)
ディックさん(通称。本名不明)…テレビ局のディレクター。いつもプロレスラーみたいなマスクを着用している。
葉無創(はなし・つくる)…テレビ局の放送作家。意味不明な川柳を作るのが得意。
早川マミ(はやかわ・まみ)…この物語の主人公? ドラマの主演女優。ふだんはコンビニでバイトしている。
見てわかる通り、コメディです。これ、実際に映像で見てみたいなあ(笑)。
どこかのテレビ局で採用してほしい。
2005年04月19日
Lの魔法使い 第12話
「はい、とうちゃく〜」
琴乃先生が連れてきたところは、繁華街の中にある「スナックパブカウンタークラブバー 魔ノ巣・男化」という名前の、いかにもあやしげな店だった。
「先生・・・ここって一体何なんですか? すごく怪しい雰囲気が漂っているんですけど」
美佳は思わず言ってしまった。
琴乃先生は、入ればわかるから、と美佳の手を引いて、古ぼけた木のドアを開けてずんずんと中に入っていった。
「あ〜らいらっしゃい・・・あら! 先生、おひさしぶりい〜ん」
野太い声がして、テレビで見たこと有るような、厚化粧のオカマの男性が現れた。ひょっとして、ここって、オカマバー? 美佳はそう思って薄暗い店内を見渡した。
客は美佳たちの他に誰もいなかったが、この店のホステス(?)と思われる人が数人いた。こっちに向かって手を振ったり、なにやらひそひそ声で話をしている。なんとなく、会話の内容は想像がついた。
カウンターに目をやると、この店には似つかわしくない、端正な顔立ちの若いバーテンがグラスをきれいにしている。
(あの人もオカマなのかな・・・本物の女性みたい)
宝塚歌劇団の男性役、といった感じの人で、あまりの美しさに、美佳はしばし見とれてしまっていた。
「紹介するわ。新しい恋人の、ワッキーこと、脇澤美佳ちゃんでーす」
琴乃先生がさらりと言ったので、美佳は聞き流していたが、いつのまにか「恋人」にされていて、思わず首を横に振ってしまった。
「違います、ただの編集者です!」
「美佳ちゃん、よろしくね、あたしはここのママのノアよ」
美佳の話を聞いていたのかどうかわからなかったが、ノアママは好意的なまなざしで美佳を見て、手を差し出した。
「あ、こちらこそ、よろしくお願いします」
美佳は反射的に手を出して握手したが、ノアママの手は、やはり男性のそれで、かなりゴツゴツしていた。
つづく
琴乃先生が連れてきたところは、繁華街の中にある「スナックパブカウンタークラブバー 魔ノ巣・男化」という名前の、いかにもあやしげな店だった。
「先生・・・ここって一体何なんですか? すごく怪しい雰囲気が漂っているんですけど」
美佳は思わず言ってしまった。
琴乃先生は、入ればわかるから、と美佳の手を引いて、古ぼけた木のドアを開けてずんずんと中に入っていった。
「あ〜らいらっしゃい・・・あら! 先生、おひさしぶりい〜ん」
野太い声がして、テレビで見たこと有るような、厚化粧のオカマの男性が現れた。ひょっとして、ここって、オカマバー? 美佳はそう思って薄暗い店内を見渡した。
客は美佳たちの他に誰もいなかったが、この店のホステス(?)と思われる人が数人いた。こっちに向かって手を振ったり、なにやらひそひそ声で話をしている。なんとなく、会話の内容は想像がついた。
カウンターに目をやると、この店には似つかわしくない、端正な顔立ちの若いバーテンがグラスをきれいにしている。
(あの人もオカマなのかな・・・本物の女性みたい)
宝塚歌劇団の男性役、といった感じの人で、あまりの美しさに、美佳はしばし見とれてしまっていた。
「紹介するわ。新しい恋人の、ワッキーこと、脇澤美佳ちゃんでーす」
琴乃先生がさらりと言ったので、美佳は聞き流していたが、いつのまにか「恋人」にされていて、思わず首を横に振ってしまった。
「違います、ただの編集者です!」
「美佳ちゃん、よろしくね、あたしはここのママのノアよ」
美佳の話を聞いていたのかどうかわからなかったが、ノアママは好意的なまなざしで美佳を見て、手を差し出した。
「あ、こちらこそ、よろしくお願いします」
美佳は反射的に手を出して握手したが、ノアママの手は、やはり男性のそれで、かなりゴツゴツしていた。
つづく
2004年08月15日
Lの魔法使い 第11話
美佳が目を覚ましたとき、すでに時間は夕方になっていた。
午前中にやってきたから、かなり長い時間眠っていたことになる。
「ど、どうしよう! 私、先生ほったらかしにして・・・」
あわててソファから降りると、マグカップを手にした琴乃先生が現れた。
「おはよー。ゆっくり眠れた?」
とびきりの笑顔で美佳に声をかけた。スーツを着ているところを見ると、外出していたか、これから出かけるのだろう。
美佳は琴乃先生に深々と頭をさげた。
「申し訳ありません、先生! 私、ついうっかり眠ってしまって・・・」
「いいのよ、気にしないで。ちょっとやることあったから、寝ててもらっただけだから。・・・魔法でね」
え? 魔法? 美佳ははっとして顔をあげた。美佳が何か言う前に、琴乃先生は手にしたマグカップを美佳にさしだした。
「コーヒーよ。ごく普通の」
美佳が受け取ると、琴乃先生はいきなり美佳にキスをした。
「おはようの、キス」
そう言い、笑顔を見せながら、ソファに腰掛けた。
美佳は向かい側のソファに腰掛け、コーヒーを一口、琴乃先生の顔色をうかがいながら飲んだ。どうやら普通のコーヒーのようだ。
「大丈夫よ、変なものいれてないから」
琴乃先生は、笑顔で言った。
美佳は、自分の考えていることを見透かされているように感じて、恥ずかしくなった。
「いえ・・・先生を疑ってるわけじゃ、ないんですよ・・・」
「あたしはワッキーのこと信じてるわよ」
「あ、ありがとうございます」
美佳は頭をさげた。素直に信じていいものか、かなり怪しかったが、嫌な気はしなかった。
琴乃先生は立ち上がると、美佳のそばにきて、頭をやさしくなでた。
「それ飲み終わったら、出かけるから。二人で、ね」
ひょっとしてデート!? 美佳は、デートですか? と聞くわけにもいかなかったので、だまってうなずいた。
つづく
午前中にやってきたから、かなり長い時間眠っていたことになる。
「ど、どうしよう! 私、先生ほったらかしにして・・・」
あわててソファから降りると、マグカップを手にした琴乃先生が現れた。
「おはよー。ゆっくり眠れた?」
とびきりの笑顔で美佳に声をかけた。スーツを着ているところを見ると、外出していたか、これから出かけるのだろう。
美佳は琴乃先生に深々と頭をさげた。
「申し訳ありません、先生! 私、ついうっかり眠ってしまって・・・」
「いいのよ、気にしないで。ちょっとやることあったから、寝ててもらっただけだから。・・・魔法でね」
え? 魔法? 美佳ははっとして顔をあげた。美佳が何か言う前に、琴乃先生は手にしたマグカップを美佳にさしだした。
「コーヒーよ。ごく普通の」
美佳が受け取ると、琴乃先生はいきなり美佳にキスをした。
「おはようの、キス」
そう言い、笑顔を見せながら、ソファに腰掛けた。
美佳は向かい側のソファに腰掛け、コーヒーを一口、琴乃先生の顔色をうかがいながら飲んだ。どうやら普通のコーヒーのようだ。
「大丈夫よ、変なものいれてないから」
琴乃先生は、笑顔で言った。
美佳は、自分の考えていることを見透かされているように感じて、恥ずかしくなった。
「いえ・・・先生を疑ってるわけじゃ、ないんですよ・・・」
「あたしはワッキーのこと信じてるわよ」
「あ、ありがとうございます」
美佳は頭をさげた。素直に信じていいものか、かなり怪しかったが、嫌な気はしなかった。
琴乃先生は立ち上がると、美佳のそばにきて、頭をやさしくなでた。
「それ飲み終わったら、出かけるから。二人で、ね」
ひょっとしてデート!? 美佳は、デートですか? と聞くわけにもいかなかったので、だまってうなずいた。
つづく
2004年07月17日
Lの魔法使い 第10話
「あたし? レズだよ。世界一のレズだっていう自信あるかなー」
琴乃はそう言うと、美佳に顔を近づけて、激しくほおずりした。
「ワッキーみたいなかわいい子見てると、もうもう・・・」
「せ、先生・・・」
美佳は、嬉しかった。レズとかそうでないとか、そういうのを抜きにして、自分のことをそんなに可愛がってくれる人は、琴乃がはじめてだったので、母親にあまえる子供のような気分で、このまま、されるがままにしているのも悪くないような気がしていた。
「ワッキー、好きよ」
琴乃は美佳の耳元でささやいた。
美佳は小さくうなずくと、琴乃の体をそっと抱きしめた。
(なんだろう・・・すごく安心する・・・・・・)
まるで、ここが自分の本来いるべき場所で、そこにようやくたどり着けたような、そんな、安らいだ気持ちになる。美佳は自分でも気がつかないうちに、眠りに落ちていっていた。
琴乃は、美佳が寝入ったのを確認すると、上になったまま、しばらく、美佳の髪をなで続けた。
「ホント、いい子ね・・・」
琴乃はそうつぶやくと、美佳から離れ、そおっと、足音を立てないようにして、居間から出て行った。
つづく
琴乃はそう言うと、美佳に顔を近づけて、激しくほおずりした。
「ワッキーみたいなかわいい子見てると、もうもう・・・」
「せ、先生・・・」
美佳は、嬉しかった。レズとかそうでないとか、そういうのを抜きにして、自分のことをそんなに可愛がってくれる人は、琴乃がはじめてだったので、母親にあまえる子供のような気分で、このまま、されるがままにしているのも悪くないような気がしていた。
「ワッキー、好きよ」
琴乃は美佳の耳元でささやいた。
美佳は小さくうなずくと、琴乃の体をそっと抱きしめた。
(なんだろう・・・すごく安心する・・・・・・)
まるで、ここが自分の本来いるべき場所で、そこにようやくたどり着けたような、そんな、安らいだ気持ちになる。美佳は自分でも気がつかないうちに、眠りに落ちていっていた。
琴乃は、美佳が寝入ったのを確認すると、上になったまま、しばらく、美佳の髪をなで続けた。
「ホント、いい子ね・・・」
琴乃はそうつぶやくと、美佳から離れ、そおっと、足音を立てないようにして、居間から出て行った。
つづく
2004年06月17日
Lの魔法使い 第九話
「あ、ちょっと待って」
白石先生はそう言うと、身体を離した。
「んー。こうあっさりうまくいくと、ちょっち物足りないのよねー。葛藤しながら、おずおずとキスしてくれるワッキーの姿が見たかったのに」
美佳はあきれたような顔をして、がっくりと肩を落とした。
「先生・・・」
白石先生はまあまあ、と言いながら美佳の肩をたたくと、ふいに美佳の耳をぺろりとなめた。
「ひっ! 先生、何するんですか、いきなり!」
美佳は思わずのけぞり、ソファから落ちそうになった。
「あ、ごめんねー。ワッキーの顔見てたら、ムラムラしちゃって、つい・・・」
白石先生の顔は笑っていたが、なにか、美味しいケーキを目の前にしているかのような、期待に満ちたまなざしをしていて、少しづつ、美佳の方に身体を近づけているのがわかった。
美佳は今まで感じたことのない恐怖を覚えていたが、心のどこかに、このままにしていたらどうなるのだろう、という好奇心が生じていることも感じていた。
今、美佳は、ソファに横たわるような感じで座っている。さっき、のけぞったときに、そうなったのだが、体勢を立て直す前に、白石先生が近づいてきて、動けないでいたのだった。
白石先生・・・琴乃は美佳の上におおいかぶさるようにして、上に乗った。手をのばして、美佳の髪をそっとなでる。
美佳は今、自分がどういう状況にあるのか、理解してはいたが、決して嫌ではなかった。美佳は言った。
「先生って・・・レズなんですか?」
つづく
白石先生はそう言うと、身体を離した。
「んー。こうあっさりうまくいくと、ちょっち物足りないのよねー。葛藤しながら、おずおずとキスしてくれるワッキーの姿が見たかったのに」
美佳はあきれたような顔をして、がっくりと肩を落とした。
「先生・・・」
白石先生はまあまあ、と言いながら美佳の肩をたたくと、ふいに美佳の耳をぺろりとなめた。
「ひっ! 先生、何するんですか、いきなり!」
美佳は思わずのけぞり、ソファから落ちそうになった。
「あ、ごめんねー。ワッキーの顔見てたら、ムラムラしちゃって、つい・・・」
白石先生の顔は笑っていたが、なにか、美味しいケーキを目の前にしているかのような、期待に満ちたまなざしをしていて、少しづつ、美佳の方に身体を近づけているのがわかった。
美佳は今まで感じたことのない恐怖を覚えていたが、心のどこかに、このままにしていたらどうなるのだろう、という好奇心が生じていることも感じていた。
今、美佳は、ソファに横たわるような感じで座っている。さっき、のけぞったときに、そうなったのだが、体勢を立て直す前に、白石先生が近づいてきて、動けないでいたのだった。
白石先生・・・琴乃は美佳の上におおいかぶさるようにして、上に乗った。手をのばして、美佳の髪をそっとなでる。
美佳は今、自分がどういう状況にあるのか、理解してはいたが、決して嫌ではなかった。美佳は言った。
「先生って・・・レズなんですか?」
つづく
2004年06月06日
Lの魔法使い 第八話
翌日、美佳は白石先生の家をたずねた。
事前に行くと電話を入れておいたので、すんなりと通してもらえた。今日はイタズラされることはないようだ。
居間のソファに美佳が座ると、白石先生は当然のように隣に座った。
またキスしてとか言われるんじゃないかという不安もあったが、今はそんなことを気にしてる場合ではなかった。
「先生、今日おうかがいしたのは、きのうのことについてなんです」
美佳は単刀直入に切り出すつもりでいた。あの「魔法」は本当に魔法だったのか、気になってしかたがないのだ。
「ん? きのうの魔法のことかしら?」
「そうです。私がこの家のドアを開けたとたん、編集部につきました。どう考えても、トリックとかではないと思うのです」
白石先生はにっこりと笑顔をみせた。
「そうね。魔法だし。もしくは、家のドアがどこでもドアになってるとか」
「・・・やっぱり魔法、ですか・・・・・・」
美佳は納得しているわけではなかったが、他に説明しようがないため、そう考えざるを得ないと思い始めていた。
「じゃあ、他にはどんな魔法ができますか? 本当に魔法なら、もっといろいろできると思うのですが」
白石先生は。口元をニヤリとさせ、目を輝かせながらこう言った。
「チューしたら見せてあげる」
またこれか、と美佳は思ったが、今日は考えてる暇はない。自分から身体を寄せていき、顔を近づけた。
つづく
事前に行くと電話を入れておいたので、すんなりと通してもらえた。今日はイタズラされることはないようだ。
居間のソファに美佳が座ると、白石先生は当然のように隣に座った。
またキスしてとか言われるんじゃないかという不安もあったが、今はそんなことを気にしてる場合ではなかった。
「先生、今日おうかがいしたのは、きのうのことについてなんです」
美佳は単刀直入に切り出すつもりでいた。あの「魔法」は本当に魔法だったのか、気になってしかたがないのだ。
「ん? きのうの魔法のことかしら?」
「そうです。私がこの家のドアを開けたとたん、編集部につきました。どう考えても、トリックとかではないと思うのです」
白石先生はにっこりと笑顔をみせた。
「そうね。魔法だし。もしくは、家のドアがどこでもドアになってるとか」
「・・・やっぱり魔法、ですか・・・・・・」
美佳は納得しているわけではなかったが、他に説明しようがないため、そう考えざるを得ないと思い始めていた。
「じゃあ、他にはどんな魔法ができますか? 本当に魔法なら、もっといろいろできると思うのですが」
白石先生は。口元をニヤリとさせ、目を輝かせながらこう言った。
「チューしたら見せてあげる」
またこれか、と美佳は思ったが、今日は考えてる暇はない。自分から身体を寄せていき、顔を近づけた。
つづく
2004年05月20日
Lの魔法使い 第七話
「・・・わかりました」
美佳は嫌そうな顔をして琴乃先生のあとに続いた。
仕事をする時の部屋に案内された。そこには一般的な小説家の書斎・・・壁に巨大な本棚があって、そこにずらりと資料用の本が並んでいる・・・のイメージとかけはなれた、実にシンプルな間取りの部屋で、そこには原稿用紙の置かれた小さな机と椅子、小型のCDラジカセ、あと、ごく普通の雑誌が数冊あるだけだった。
琴乃先生は言った。
「今から魔法をかけます。あなたの望みをかなえてあげるわ」
「・・・・・」
美佳は何も言えなかった。まだなにかいたずらでもしようというのだろうか。それに、今の望みは早く編集部に帰ることだ。かなえてくれるなら、早くここから解放してほしい。
琴乃先生はそんな美佳のことなどまったく意に介さない様子で、何か考え事をするかのように、目をとじて、うーんとうなっていた。
美佳はどうしたものかと思ったが、すぐに琴乃先生が目をあけて、こう言った。
「はい。魔法をかけました。じゃ、また明日ね」
「・・・はい」
美佳はもうどうでもいいや、と思い、おじぎをして、さっさと部屋を出た。
玄関で靴をはいて、原稿を確かめると、後ろをふりかえった。琴乃先生の姿はない。一体あれのどこが魔法なんだか・・・。肩をすくめて、ドアを開け、一歩外に出た。
「あれ?」
そこは編集部だった。美佳は一瞬、何が起こったのか理解できなかった。今入ってきたドアを開けて、外に出てみると、そこは、編集部のあるビルの廊下だった。
もう一度ドアを開けて、中に入ると、そこはやっぱり編集部だった。
魔法? 琴乃先生の家から編集部まで一瞬のうちにワープしたというのだろうか。
美佳は信じられなかった。とても現実とは思えない。でも、そこはまぎれもなく編集部だった。
つづく
美佳は嫌そうな顔をして琴乃先生のあとに続いた。
仕事をする時の部屋に案内された。そこには一般的な小説家の書斎・・・壁に巨大な本棚があって、そこにずらりと資料用の本が並んでいる・・・のイメージとかけはなれた、実にシンプルな間取りの部屋で、そこには原稿用紙の置かれた小さな机と椅子、小型のCDラジカセ、あと、ごく普通の雑誌が数冊あるだけだった。
琴乃先生は言った。
「今から魔法をかけます。あなたの望みをかなえてあげるわ」
「・・・・・」
美佳は何も言えなかった。まだなにかいたずらでもしようというのだろうか。それに、今の望みは早く編集部に帰ることだ。かなえてくれるなら、早くここから解放してほしい。
琴乃先生はそんな美佳のことなどまったく意に介さない様子で、何か考え事をするかのように、目をとじて、うーんとうなっていた。
美佳はどうしたものかと思ったが、すぐに琴乃先生が目をあけて、こう言った。
「はい。魔法をかけました。じゃ、また明日ね」
「・・・はい」
美佳はもうどうでもいいや、と思い、おじぎをして、さっさと部屋を出た。
玄関で靴をはいて、原稿を確かめると、後ろをふりかえった。琴乃先生の姿はない。一体あれのどこが魔法なんだか・・・。肩をすくめて、ドアを開け、一歩外に出た。
「あれ?」
そこは編集部だった。美佳は一瞬、何が起こったのか理解できなかった。今入ってきたドアを開けて、外に出てみると、そこは、編集部のあるビルの廊下だった。
もう一度ドアを開けて、中に入ると、そこはやっぱり編集部だった。
魔法? 琴乃先生の家から編集部まで一瞬のうちにワープしたというのだろうか。
美佳は信じられなかった。とても現実とは思えない。でも、そこはまぎれもなく編集部だった。
つづく
2004年05月06日
Lの魔法使い 第六話
一瞬、琴乃のくちびると美佳のくちびるがふれあった。
「素直でいい子ね。楽しみはまた今度にとっておくわ」
琴乃はそう言って、美佳をぎゅっと抱きしめた。
「ちょっと待っててね。原稿取ってくるから」
琴乃先生がその場を離れると、美佳は呆然として、宙を見つめた。ほんの一瞬だったが、キスされたとき、身体に電流が走ったような衝撃があった。
もしかして、レズっ気あるのかしら? と思ったが、その考えはすぐに頭から振り払った。
ほどなく、琴乃先生が原稿を手に現れた。時間にして1分もたってなかった。ここで、美佳はあることに気がついた。
「先生・・・書けなかった、あとほんの少しって・・・」
「え? 原稿の最後に、つづくって書いてなかったの」
美佳はずっこけた。
「先生! もしかして、私、まただまされちゃいました?」
「んー。だましてないわよ。実際に書いてなかったし」
美佳は少し涙目になりながら立ち上がった。
「・・・それでは、原稿持って行きますね」
結局、新人の自分をからかいたかっただけなのだ。美佳は、編集部を出るときに、皆が私を哀れむようなまなざしで見ていた理由はこれなのだと悟った。
美佳が出ようとすると、琴乃先生が手をつかんでひきとめた。
「待って。あなたに見せたい物があるの」
つづく
「素直でいい子ね。楽しみはまた今度にとっておくわ」
琴乃はそう言って、美佳をぎゅっと抱きしめた。
「ちょっと待っててね。原稿取ってくるから」
琴乃先生がその場を離れると、美佳は呆然として、宙を見つめた。ほんの一瞬だったが、キスされたとき、身体に電流が走ったような衝撃があった。
もしかして、レズっ気あるのかしら? と思ったが、その考えはすぐに頭から振り払った。
ほどなく、琴乃先生が原稿を手に現れた。時間にして1分もたってなかった。ここで、美佳はあることに気がついた。
「先生・・・書けなかった、あとほんの少しって・・・」
「え? 原稿の最後に、つづくって書いてなかったの」
美佳はずっこけた。
「先生! もしかして、私、まただまされちゃいました?」
「んー。だましてないわよ。実際に書いてなかったし」
美佳は少し涙目になりながら立ち上がった。
「・・・それでは、原稿持って行きますね」
結局、新人の自分をからかいたかっただけなのだ。美佳は、編集部を出るときに、皆が私を哀れむようなまなざしで見ていた理由はこれなのだと悟った。
美佳が出ようとすると、琴乃先生が手をつかんでひきとめた。
「待って。あなたに見せたい物があるの」
つづく
2004年04月28日
Lの魔法使い 第五話
「ねえ、ワッキー。原稿なんだけど、あと少しであがるのね。でも、その、あと少し・・・が書けないの」
白石先生は、うつむきかげんで、申し訳なさそうに言った。
「あ、先生、私ならいつまでも待ってますから」
美佳は編集者として当然の仕事だと思っていたので、すぐにそう答えた。
「でもね、でもね、ワッキーとチューしたらすぐに書けそうな気がするの」
白石先生は甘えるようなまなざしで美佳を見つめ、小さな子供みたいな声でそう言った。
「え?」
美佳はこれもドッキリなんじゃないかと思った。
「先生・・・冗談ですよね」
白石先生はかぶりをふった。
「本当よ・・・」
今度は誘惑するような目になった。そして、美佳の肩を抱くと、ゆっくりと顔を近づけてきた。
「せ、先生!」
美佳は逃げたかったが、身体が言うことをきかず、されるがままだった。
今、目の前にいるのは、作家の白石先生ではなく、一人の女性の、白石琴乃になっていた。
美佳は覚悟をきめ、目をとじて、琴乃のくちびるが触れるのを待った。
つづく
白石先生は、うつむきかげんで、申し訳なさそうに言った。
「あ、先生、私ならいつまでも待ってますから」
美佳は編集者として当然の仕事だと思っていたので、すぐにそう答えた。
「でもね、でもね、ワッキーとチューしたらすぐに書けそうな気がするの」
白石先生は甘えるようなまなざしで美佳を見つめ、小さな子供みたいな声でそう言った。
「え?」
美佳はこれもドッキリなんじゃないかと思った。
「先生・・・冗談ですよね」
白石先生はかぶりをふった。
「本当よ・・・」
今度は誘惑するような目になった。そして、美佳の肩を抱くと、ゆっくりと顔を近づけてきた。
「せ、先生!」
美佳は逃げたかったが、身体が言うことをきかず、されるがままだった。
今、目の前にいるのは、作家の白石先生ではなく、一人の女性の、白石琴乃になっていた。
美佳は覚悟をきめ、目をとじて、琴乃のくちびるが触れるのを待った。
つづく
2004年04月21日
Lの魔法使い 第四話
美佳は、白石先生のことは、写真で見たことがあったが、実際に目の当たりにすると、写真よりもずっと若くて美人だった。もっとも、年齢は「自称」18歳なので、若く見える、という言い方はおかしいのかもしれないが。
白石先生は、美佳の隣に腰掛けた。まさかその位置にくると思っていなかった美佳は、どぎまぎしながら、挨拶をした。
「初めまして、今度担当をすることになった脇澤です」
「そんなに固くならなくていいからね、ワッキー」
白石先生は美佳に笑顔を見せながら、両手で美佳の肩を軽くたたいた。
美佳は落ち着かない様子でコップを手に取り、軽く口に運んでから、おずおずとこう言った。
「わっきー? 先生、それって私のニックネーム・・・ですか?」
「うん、そうよ。脇澤だから、ワッキー。ダメかしら?」
さっきよりもいい笑顔で白石先生は言った。
美佳はあわてて手を振った。
「いえいえ、とんでもないです。学生時代、そう呼ばれていましたから」
「そう、よかった。じゃあ、これからよろしくお願いするわね」
白石先生は笑顔で大きくうなずくと、すっくと立ち上がり、祐二に向かってこう言った。
「それじゃあ、佐伯君、あとは大丈夫だから。原稿はワッキーに持たせるから心配しないで」
「わかりました。それでは僕は編集部に戻ります」
祐二は言うが早いか、そそくさとその場から去っていった。
美佳は、それを呆然としながら見送った。
いきなり先生と二人きり。なにもわからない状態の中で、一体自分は何をすればいいのか・・・。
つづく
白石先生は、美佳の隣に腰掛けた。まさかその位置にくると思っていなかった美佳は、どぎまぎしながら、挨拶をした。
「初めまして、今度担当をすることになった脇澤です」
「そんなに固くならなくていいからね、ワッキー」
白石先生は美佳に笑顔を見せながら、両手で美佳の肩を軽くたたいた。
美佳は落ち着かない様子でコップを手に取り、軽く口に運んでから、おずおずとこう言った。
「わっきー? 先生、それって私のニックネーム・・・ですか?」
「うん、そうよ。脇澤だから、ワッキー。ダメかしら?」
さっきよりもいい笑顔で白石先生は言った。
美佳はあわてて手を振った。
「いえいえ、とんでもないです。学生時代、そう呼ばれていましたから」
「そう、よかった。じゃあ、これからよろしくお願いするわね」
白石先生は笑顔で大きくうなずくと、すっくと立ち上がり、祐二に向かってこう言った。
「それじゃあ、佐伯君、あとは大丈夫だから。原稿はワッキーに持たせるから心配しないで」
「わかりました。それでは僕は編集部に戻ります」
祐二は言うが早いか、そそくさとその場から去っていった。
美佳は、それを呆然としながら見送った。
いきなり先生と二人きり。なにもわからない状態の中で、一体自分は何をすればいいのか・・・。
つづく
2004年04月12日
Lの魔法使い 第三話
美佳が目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
「・・・あれ? ここは?」
見知らぬ部屋にいた。美佳は記憶をたどっていき・・・そういえば自分は白石先生のマンションまで来て、ついたとたん、先生の死体が目の前にあって・・・
「そうだ! 先生!」
美佳はあわててベッドから降りると、部屋のドアを開けた。
すると、そこは居間のようで、何事もなかったかのような顔をした祐二がソファに腰掛けていた。その前のガラステーブルの上にはコップに入ったジュースがおいてある。
「佐伯さん! 先生は・・・」
「お。起きたか。まあ、座って。話はそれからするから」
祐二が落ち着いた口調で言うので、美佳はやきもきしながら祐二の向かいのソファに座り、せっつくように祐二にたずねた。
「ゆっくりしてる場合じゃないですよ、先生が殺されたっていうのに」
祐二は苦笑いを浮かべながら、ジュースを一口飲んだ。
「・・・いや、あれはドッキリだったんだ」
「はあ?」
ドッキリ? ドッキリって、あの、わざと他人をひっかけて困らせたりするという・・・美佳はそう言いたかったが、声が出なかった。
一体何がなんだかわからなかったので、少し落ち着こうと、深呼吸をして、どういうことかきちんと説明を・・・と思ったその時、聞き慣れない女性の声がした。
「ごめんねー。ちょっと驚かせるつもりだったんだけどねー」
声のする方を見ると、そこには、元気な姿の白石先生が立っていた。
つづく
「・・・あれ? ここは?」
見知らぬ部屋にいた。美佳は記憶をたどっていき・・・そういえば自分は白石先生のマンションまで来て、ついたとたん、先生の死体が目の前にあって・・・
「そうだ! 先生!」
美佳はあわててベッドから降りると、部屋のドアを開けた。
すると、そこは居間のようで、何事もなかったかのような顔をした祐二がソファに腰掛けていた。その前のガラステーブルの上にはコップに入ったジュースがおいてある。
「佐伯さん! 先生は・・・」
「お。起きたか。まあ、座って。話はそれからするから」
祐二が落ち着いた口調で言うので、美佳はやきもきしながら祐二の向かいのソファに座り、せっつくように祐二にたずねた。
「ゆっくりしてる場合じゃないですよ、先生が殺されたっていうのに」
祐二は苦笑いを浮かべながら、ジュースを一口飲んだ。
「・・・いや、あれはドッキリだったんだ」
「はあ?」
ドッキリ? ドッキリって、あの、わざと他人をひっかけて困らせたりするという・・・美佳はそう言いたかったが、声が出なかった。
一体何がなんだかわからなかったので、少し落ち着こうと、深呼吸をして、どういうことかきちんと説明を・・・と思ったその時、聞き慣れない女性の声がした。
「ごめんねー。ちょっと驚かせるつもりだったんだけどねー」
声のする方を見ると、そこには、元気な姿の白石先生が立っていた。
つづく
2004年04月06日
Lの魔法使い 第二話
美佳は白石先生の前担当者になる佐伯祐二の運転する車で、白石の住むマンションに向かっていた。
「先輩、白石先生って、どんな人なんですか?」
「そうだなあ・・・一言で説明すると、すごい人、かな」
「そんなにすごいんですか!」
一体何がすごいのかよくわからなかったが、美佳は妙に納得してしまった。
祐二はすこしだまって、ため息をついてから、こう言った。
「ただ、先生は俺達とはあまりにもかけはなれているから、最初はかなり苦労すると思うよ。いや・・・担当して五年になるけど、先生のこと、半分も理解できてないと思う」
「それくらいすごい人なんですね」
美佳はすごい、という言葉がことさら気に入ったみたいで、マンションに到着するまで、ずっとすごい、を連呼していた。
「先生、行永出版の佐伯です」
白石の部屋の前で、インターホンのチャイムを鳴らして呼びかけるが、返事がなかった。
二度、三度とチャイムを鳴らすが応答はなく、何気なくドアに手をかけると、鍵はかかってないらしく、簡単に開いた。
「先生、お邪魔しますよ」
祐二がそう言って中をのぞくと、いきなり目の前に、うつぶせに倒れている女性の姿が目に入った。背中には包丁が刺さっており、そこからおびたたしい量の血が流れ出していた。
「せ、先生!」
祐二が驚きのあまり叫び声をあげると、外で待っていた美佳が中に入ってきた。
「え! なにこれ! あうあのわうれれ・・・」
美佳はわけのわからないことを口走りながら、その場に倒れ込んだ。
つづく
「先輩、白石先生って、どんな人なんですか?」
「そうだなあ・・・一言で説明すると、すごい人、かな」
「そんなにすごいんですか!」
一体何がすごいのかよくわからなかったが、美佳は妙に納得してしまった。
祐二はすこしだまって、ため息をついてから、こう言った。
「ただ、先生は俺達とはあまりにもかけはなれているから、最初はかなり苦労すると思うよ。いや・・・担当して五年になるけど、先生のこと、半分も理解できてないと思う」
「それくらいすごい人なんですね」
美佳はすごい、という言葉がことさら気に入ったみたいで、マンションに到着するまで、ずっとすごい、を連呼していた。
「先生、行永出版の佐伯です」
白石の部屋の前で、インターホンのチャイムを鳴らして呼びかけるが、返事がなかった。
二度、三度とチャイムを鳴らすが応答はなく、何気なくドアに手をかけると、鍵はかかってないらしく、簡単に開いた。
「先生、お邪魔しますよ」
祐二がそう言って中をのぞくと、いきなり目の前に、うつぶせに倒れている女性の姿が目に入った。背中には包丁が刺さっており、そこからおびたたしい量の血が流れ出していた。
「せ、先生!」
祐二が驚きのあまり叫び声をあげると、外で待っていた美佳が中に入ってきた。
「え! なにこれ! あうあのわうれれ・・・」
美佳はわけのわからないことを口走りながら、その場に倒れ込んだ。
つづく
2004年04月01日
Lの魔法使い 第一話
「今日からお世話になることになりました、脇澤美佳です。よろしくお願いします」
美佳は深々と頭を下げた。着慣れないスーツを着ているせいか、ちょっと動きがぎこちなかった。
彼女は新入社員。行永(ゆきなが)出版という小さな出版社に編集者として、本日、2004年4月1日に入社。
「早速だけど、脇澤さんには、白石先生の担当をしてもらいます。これは先生が直々に希望されたものですので、どうかがんばってください」
いきなり編集長から与えられた大仕事。白石先生・・・白石琴乃は知る人ぞ知る小説家で、主にファンタジー小説を執筆している。剣と魔法という、ファンタジーの王道の中に、やさしい雰囲気の物語をちりばめている作風で、主に中高生に人気がある。
美佳も中学生の時に、彼女の作品を読んでファンになり、行永出版に入社しようと思ったのだった。
そして、入社できたと思ったら、いきなり憧れの人の担当、しかも向こうからの指名ということで、美佳はもう天にも昇る気持ちだった。
「一生懸命がんばります!」
美佳は元気よく返事をした。その顔はどう言っていいかわからないくらい幸せいっぱいで、見ているだけでこっちが幸せな気分になれそうに思えた。
が、美佳以外の編集者の顔は一様に暗く、どこか「かわいそうに」という哀れみの雰囲気が漂っていた。
つづく
美佳は深々と頭を下げた。着慣れないスーツを着ているせいか、ちょっと動きがぎこちなかった。
彼女は新入社員。行永(ゆきなが)出版という小さな出版社に編集者として、本日、2004年4月1日に入社。
「早速だけど、脇澤さんには、白石先生の担当をしてもらいます。これは先生が直々に希望されたものですので、どうかがんばってください」
いきなり編集長から与えられた大仕事。白石先生・・・白石琴乃は知る人ぞ知る小説家で、主にファンタジー小説を執筆している。剣と魔法という、ファンタジーの王道の中に、やさしい雰囲気の物語をちりばめている作風で、主に中高生に人気がある。
美佳も中学生の時に、彼女の作品を読んでファンになり、行永出版に入社しようと思ったのだった。
そして、入社できたと思ったら、いきなり憧れの人の担当、しかも向こうからの指名ということで、美佳はもう天にも昇る気持ちだった。
「一生懸命がんばります!」
美佳は元気よく返事をした。その顔はどう言っていいかわからないくらい幸せいっぱいで、見ているだけでこっちが幸せな気分になれそうに思えた。
が、美佳以外の編集者の顔は一様に暗く、どこか「かわいそうに」という哀れみの雰囲気が漂っていた。
つづく



