2005年09月13日

じゅん先生と私

しばらく音沙汰のなかったじゅん先生から電話をもらったわたしは、ある晩彼の家をたずねた。
「やっほー。元気してた?」
わたしはじゅん先生に言った。わたしの顔を見ると、彼は嬉しそうに口元に笑みを浮かべ、こう言った。
「まあ、相変わらずだけど。さ、さ、上がって」
わたしはじゅん先生について部屋まで行った。
部屋の中はおもちゃ箱をひっくり返したようなありさまで、わたしが片づけてあげようかというと、じゅん先生は片づけるとかえって何がどこにあるかわからなくなるから、と言った。足の踏み場もないというのに、もう。
「それで、何がどうしたっていうの? あたしの意見が聞きたいといってたけど」
「うん、それなんだけど、ここじゃなんだから…ちょっと台所にきてくれない?」
「だったら別にここにつれてこなくてもいいじゃない」
「まあ、物事には順序というものが…」
じゅん先生は言った。いつ見ても変な人だ。これでもわたしの占いの師匠だというんだからおそれいる。もっとも、その弟子をやっているわたしもわたしだけど。
台所にいくと、テーブルの上に餃子やシュウマイなどの中華料理がたくさん乗っている大きな皿があり、そのそばに、長さが一メートルはあろうかというとんでもない大きさの箸が二組置いてあった。
「何、その変な箸」
「うむ。いい質問だ」
じゅん先生は何かをたくらんでいるときにこういう言い方をする。きっとろくでもないことを考えているに違いない。
「実は、このあいだ、友達が俺にこんなことを言ったんだ」
じゅん先生の話はこうだ。地獄で昼食の時、亡者たちにこの異様に長い箸が配られたが、箸が長すぎてうまく食べ物を口に運べず、結局食事にありつけなかった。ところが天国でも同じことがあったにもかかわらず、天使たちはうまく食事ができた。それはどうしてか?
わたしはすぐに答えた。
「それは、向かいの人の口に食べ物を運んであげたからじゃないの?」
それを聞いてじゅん先生は不満そうな顔をした。
「俺ならこうするって言ったんだ。箸を取り替えてもらうって」
わたしは笑った。いかにもじゅん先生らしい発想だ。
するとじゅん先生はむきになってこう言った。
「だって、普通はそうするんじゃないのか? そんな使いづらい箸で食事が出来るはずがない」
「それはそうだけど…自分のことばかり考えるからそうなるんじゃない。相手に対する思いやりの気持ちのことを言いたかったんじゃないの? それを言った人は」
じゅん先生はかえす言葉もないといったふうで、くやしそうな顔をした。
「……それにしても、この箸は使いづらいったらありゃしない。わざわざ作って実験してみたんだけど」
「普通の人はそこまでしないわよ! まったく、じゅん先生ったらもう、凝り性なんだから…それに、どうして中華料理なの?」
「それは、ただ単に、大きなお皿にたくさんの料理が乗っていましたと聞いて、イメージしたのが中華料理だったから…別に深い意味はないんだけど」
「ふうん。まあいいわ。結局、それが聞きたくてあたしを呼んだの?」
「うん、まあ、そういうことだ」
じゅん先生はきまりが悪そうだった。
「…せっかくきたんだから食べていってくれよ。本当に相手に食べさせることが出来るかどうかやってみよう」
「うん、いいわよ」
わたしたちはテーブルに向かいあわせについた。
じゅん先生はわたしの近くの春巻を箸でつかんでわたしの前にさしだした。
「それじゃ、俺からいくぞ。はい、アーンして」
じゅん先生がニヤニヤしているのを見てわたしは思わず叫んだ。
「そんな恥ずかしいこと出来るわけないじゃない!」
それを聞いてじゅん先生は勝ち誇ったようにこう言った。
「ほら、やっぱり無理だろ」
わたしはあきれて物が言えなかった。
posted by あまのめぐみ at 22:52| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説版「天野恵」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月11日

「天野恵」誕生秘話・其の三

授業を始めます。
今日は天野恵の製作秘話の3ページ目です。
学生編の登場人物と、いくつかの物語の簡単な紹介をします。

学生編
・・・実は書くほど細かい設定はされてません(苦笑)。
なので、エピソードの紹介を兼ねて説明します。
現時点で出来上がっているエピソードを時間軸に沿って紹介します。

エピソード 0
これは恵が占いをはじめる前のお話で、高校に入ってすぐのことです。
同級生に「ヒメ(姫、あるいは氷女)」と呼ばれる女の子がいて・・・というお話で、このことがきっかけで、恵は学校内で有名人になってしまいます。

エピソード 1
恵が占いをはじめるきっかけになる話で、社会人編にも出てくる幼なじみの城と一緒にバンドをはじめる、という話です。
バンドと占いがどう結びつくのかは、読んでからのお楽しみ、ですね。

エピソード 2
これは、構想段階で止まっていますが、無茶苦茶な話で、まあ、サラリーマン金太郎みたいな話です(笑)。

エピソード 3
ここから社会人編に移行します。
玲子さんが初登場する話で、個人的にはかなり気に入っています。

エピソード 4
このへんから、もうおかしくなってきて(苦笑)、なぜかヤクザと戦うという話です(笑)。

エピソード 5
これは、ラブストーリー(?)で、移植の作品ですね。学生時代と話がリンクしてくるという。
一番長い話かも。

エピソード 6
現時点で、一番新しいエピソードになるのがこれで、ロシアの船で誘拐されそうになるという(苦笑)、危険な話です。

はっきりいって、これだけでは何がなんだかわかりませんが、頭の中で出来上がっているだけなので、実際にどうなるかは、書いてみないとわからないですね・・・。
あと、中途半端に出来てる作品や、短いエピソードもいくつかあります。
機会があれば、「小説版・天野恵」として公表したいと思います。

posted by あまのめぐみ at 22:01| 山形 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 小説版「天野恵」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月09日

「天野恵」誕生秘話・其の二

今回は、天野恵の周囲の人物について書きたいと思います。

家族構成は、両親と同居で、きょうだいはいません。
父親は弁護士で、母親は中学校の国語教師という設定になってます。
なぜそういうお堅い職業にしたかというと、その一人娘が占い師、というふうなら面白い、というのと、堅い職業のわりに、子供には好きなようにやらせてあげる親、ということにしたかったんです。
恵の親は、娘に対して、いい学校に入って、いい会社に就職しなさい、というようなことは一切言わず、人としての礼節をきちんとわきまえるなら、あとは娘の意志を尊重してあげよう、という考え方なんです。
このへんはさくしゃの理想とする親の姿ですね。
あと、一人娘なのは、おたがいに共働きで、子供にかける時間が多くとれないだろう、という判断からそうした、という設定になっています。

恵の友人関係については、社会人のときと、学生のときで別れているので、別々に書こうと思います。
社会人編

「白水院玲子(はくすいいん・れいこ)」
彼女は、恵より2歳年下で、彼女も占い師です。女性が主人公なら、二人一組だろう、ということで誕生したキャラです。
名前から想像つくように、彼女は深窓の令嬢、という設定で、家はスーパーお金持ちです。おっとりとした性格で、いかにもお嬢様、というイメージのキャラ、といえば、だいたい想像つくと思います。
恵がプロの占い師になって、最初に出会った人、という設定になってます。
余談ですが、さくしゃの友達の奥さんと同じ名前のため、改名すべきか悩みました(命名したのは二人が交際する前なので、単なる偶然です)が、ずっとこの名前だったので、そのままにすることにしました。

「神代城(かみしろ・じょう)」
彼は恵の幼なじみという設定で、高校までずっと一緒でした。こう書くと、恵の恋人? という印象がありますが、おたがいにそういう感情はないようです。一人っ子の恵にとっては、兄弟のような存在ですね。
現在はバーテンダーをやっています。

他にもたくさんいますが、長くなるので、他は、作品中に登場するのを楽しみにしていてください。
次回は、学生編と、恵に関する主なエピソードを簡単に説明しようと思います。

posted by あまのめぐみ at 22:10| 山形 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 小説版「天野恵」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月08日

「天野恵」誕生秘話・其の一

こんばんは。さくしゃです。最近物語の創作意欲がアップしています。
そんな中で、あることに気がつきました。
このブログを開設して、2年近くになりますが、ブログの主人公である「あまのめぐみ」についての情報があまりにも少ないのです。
架空の存在、となっていますが、ただ意味もなく、架空の人物を立てたのではなく、ちゃんとモデル(?)になった人がいます。
それが、今から紹介する「天野恵」です。
彼女は、元々、さくしゃの書いていた小説の主人公として誕生しました。それがいつのことだったかは、ずいぶん前のことなので、はっきりとはおぼえていません。
コンセプトとしては、「理想の女性」でした。こだわった点は、性格ですね。「気が強い」「短気」「男に媚びない」というこの3点が重要です。あと「ハスキーボイス」。低い声の女性が好きです。
実在の人物で言うと、「北斗晶」さんが一番近いかな。鬼嫁大好き(笑)。声は中村あゆみさんやSHOW-YAの寺田恵子さんの感じ。
ビジュアルイメージとしては、当時はアニメキャラをイメージしてました。エルガイムのレッシィとダーティペアのケイ。
あと、美人でスタイルが良くて頭が良くて、背が高くて最強なこと(笑)。阿久津先生っぽい?
と、こんな感じで、かなり特殊な好みのため、いわゆるアイドルとかはまったく興味なかったですね。女の子女の子してるのは嫌。
そして、職業は占い師って決まってました。憧れの職業だったので。
名前は、こんなパーフェクトな女性がいるとしたら、それは「天の恵み」にちがいない、ということで、「天野恵」になりました(笑)。
こうして「天野恵」が誕生したわけですが、どうしてこういう「強い女性」が好きかというと、さくしゃが女性に近い感性を持っているからなんですね。だから、男性的な女性を好むのでしょう。

また、「あまのめぐみ」の方はどうしてもさくしゃの感性が入り込んでしまうので、ここに書いたような「天野恵」のイメージとはかなり違うと思います。むしろおだやかな女性のイメージになってますね。
そのせいかどうかわかりませんが、ここのブログは、女性ウケがいいんですよね(苦笑)。はじめた当初は「ネカマキモイ」とか言われるんじゃないかと思っていたのですが、その逆になってしまいました・・・。

次回は、天野恵をとりまく人々、ということで、家族や友人に関する設定を公開しようと思います。


posted by あまのめぐみ at 23:04| 山形 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 小説版「天野恵」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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